2008.02.18 Monday 09:58

「現場実習報告書」のご紹介

 雪が降ったりと寒い日が続きますが、公園の梅は咲き始め、桜の枝もぷくぷくと春の準備をしていますね。そんな中、夜間の皆さん(昼間の人も数名)は一年間の総まとめとして、実践から学ぶ後期の現場実習を頑張っています。実習後には、現場実習で学んだことをまとめた「現場実習報告集」を作成します。どんなものなんだろうという方のために、実習報告集からひとつ紹介します。

H.Tさん(19年度昼間課程)
実習施設/知的障害者更生施設
報告テーマ/コミュニケーションと利用者理解
キーワード/1)コミュニケーション 2)自己理解 3)共に考える
◆はじめに
利用者さんとのコミュニケーションの取り方や、支援の方法、施設の役割などについて考察したいといった課題を立てました。利用者さんとじっくり関わることができましたが、そのことで精一杯になっていた部分もあり、もっと広い視点を持って取り組むことができればさらに良かったかと思います。
◆共感する
 実習の始めのほうは、特に言葉でのコミュニケーションが難しい利用者さんに対して、どう接していけばいいのか分からなくて戸惑ったり、この接し方でいいのだろうかと迷ったりと、とても緊張しながら利用者さんと接していました。二週目からは特定の利用者さんにつかせていただき、利用者さんからのアプローチも増えてきましたが、その段階になっても私はどうしていいかわからず内心おろおろしていました。そんな中、作業中発語のないAさんが両手を合わせて「ちょうだい」という仕草を繰り返してきました。その時は何が欲しいのか分からず、作業を中断していることが気になって、適当なことを言ってごまかしてしまい、やがてAさんは作業に戻っていきましたが、翌日も作業中に同じ仕草を繰り返してきました。職員さんからの助言もあり、今度は分かるまで粘ってみようと思って接してみました。やがて何が欲しいのかは分かり、それは今すぐは出せないということを伝えましたが、その後も「ちょうだい」という仕草は続きました。私はなぜAさんが訴え続けるのか分からず、どう対応していいものか困りながらもやり取りを繰り返していたところ、ふとAさんは「待ち遠しい」と言いたいのではないかと感じ、「まだ出せないので待ってください」という言い方ではなく、「待ちきれないくらい楽しみなんですね」といった声かけをしてみました。そのとき、私は言葉でのコミュニケーションが難しい利用者さんと初めて会話できたような気がしました。なかなか積極的に利用者さんとの距離を縮められずにいたなかで、あきらめずに向き合うということと、利用者さんの気持ちに寄り添っていく、共感しようとしていく態度の大切さを感じました。
◆表現する
 この出来事のあと、私は利用者さんからの意図が読みにくい訴えに対して、「どうしたいのか分かりません」「それは分かります」といった言葉が自然と出てくるようになり、また「汚い」「嫌だ」といった感情も伝えることができるようになり、利用者さんに接するときにあまり緊張しなくなっていきました。利用者さんを前に緊張してしまうのは自分の性格なのだろうと、それほど深く考えずにいましたが、この出来事を通じて、私は利用者さんの訴えはできるだけ正確に汲み取り、できるだけ正しい対応を取らなくてはいけない、とどこかで思い込んでいて、妙に構えてしまったり、利用者さんとの接し方が不自然なものになってはいなかったかということに気付きました。一方的なやり取りはコミュニケーションとは言えないにもかかわらず、利用者さんが発信してきてくれるものをどこまで汲み取れるかという相手のことばかりに意識が向いていて、自分の気持ちに気づこうとしたり、表現していこうとはしていませんでした。また「分からない」「汚い」「嫌だ」といった感情をもつこと自体を避けていたところがあり、余計に自分の気持ちに対して鈍感になっていたとも思います。利用者さんを理解し、関係を築いていく方法として、観察する以外に、自分が利用者さんと関わる中で感じた気持ちを利用者さんに表現していくということも欠かせないことなのだと感じました。
◆作業について
 おもに関わらせていただいたBさんは、作業の習慣がまだ身に付ききっていないところがあり、仕事道具で遊びだしたり、注意すると興奮してしまうこともありました。私は、Bさんの気持ちや行動をどこまで受け入れ、どこから注意すればいいのか迷ってしまい、Bさんの言いなりになってしまったり、作業中、遊んだり、怒らせたりしなくて済むような接し方や環境づくりの方法など、Bさん自身でなく、Bさんが起こす行動に対してばかり意識がいってしまいがちでした。今思うと私のそれらの行動は、「この人は集中できない人なのだ」というあきらめから来ていたように思います。職員さんからは「作業することが目的ではないので、作業にこだわらなくてもいいですよ」と言われ、では何をしたらいいのだろうかとも思いましたが、毎日作業をするうちにBさんは集中力にむらはあるけれど、集中が途切れても持ち直せる力を本当は持っているのではないかと感じるようになりました。私のBさんへの働きかけの方法が大きく変化したわけではありませんが、Bさんへの関わりが「できないから」といった消極的なのものから、「できるところから始めてみよう」「なにか方法がないか一緒に探してみよう」といった気持ちへと変わっていったように感じ、「できること」に目を向けることも大切ではないかと思いました。
◆おわりに
 実習が始まったものの、なかなか積極的に利用者さんに関わることができない状態がしばらく続いていました。普段の生活でも人間関係はゆっくりと作っていくほうなので、性格なのだ、と流してしまっていた部分もありましたが、なぜ積極的な関わりを避けてしまうのか、自分の気持ちに気づいて自分を知ろうとしないことには、相手に対してもどう関わっていきたいのか、どういう支援をしていきたいのか、といった考えを持つことが難しいのではないかと感じました。
言葉でのコミュニケーションが難しい利用者さんとは、互いのコミュニケーションの手段が確立されていないなかで、やり取りをしていくので、「知りたい、分かりたい」という気持ちと「伝えたい、分かってほしい」という気持ちをお互いにしっかり持っていないと、意思の疎通が難しいということが分かりました。「知りたい」と思ってもらえる関係になることや、いろいろと試しながらコミュニケーションの方法を探っていくことなどを経験させていただけたのではないかと思います。

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