<クリアランスについて(国家出題からの抜粋)>
1.血流量が多くなるほどクリアランスは増加するが比例はしない。
2.ただし溶質のクリアランスは血流量を超えない。
3.膜面積が広いほどクリアランスは増加する。
4.透析液流量の増加とともにクリアランスは増加するが、透析液流量400~500ml/min程度で尿素のクリアランスはほぼ頭打ちとなる。
5.クリアランスは基本的に時間に依存しない。
6.クリアランスとは、透析装置の溶質透過性の指標である
7.透析器のクリアランスの計算には、 血流量(限外濾過を行うときには限外濾過流量も)、透析器入口側血液溶質濃度、透析器出口側血液溶質濃度の三つの値が必要である。
8.クリアランスは血流量を越えることはない。最大で血液量であり(クリアランス100%)、通常はそれ以下。最大値は、ダイアライザを通過する間に全部除去されたときである。
9.限外濾過量を増せば、クリアランス値は増加する。その意味は、限外濾過で除去される水分とともに小分子量の物質も除去されるからである。
10.限外濾過流量の増加とともにクリアランスはほぼ直線的に上昇する。
11.透析液再循環方式では、時間と共にクリアランス値は低下する。それは、透析液中の排除物質の濃度が再循環によって上昇し、血中との濃度差が時間と共に減少するからである(現在は行われていない)。
12.クリアランスは血流量とともに増加する。それは血流量が多いほど、多量の除去目的物質をダイアライザまで運んでくるからである。
13.クリアランスは血液流量の関数であり、透析液流量の関数ではない。
14.尿素のクリアランスは血液濾過では濾過流量にほぼ等しい。濾過される水と一緒に出てしまうからである。
15.尿素クリアランスは透析液量を増すと増して行く。それは透析液中の尿素濃度がより低くなり濃度差が増えるからである。ただし透析液流量500mL/minを越えるとほぼ一定になってゆく。
<よりよいダイアライザの条件(まとめ)>
1.高効率のクリアランスおよび溶質除去性能 →透析性能の向上
2.良好な生体適合性 →マイルドな透析を実現
3.限外濾過が経時的に変化しない →透析の性能の持続
4.高い抗血栓性、少ない残血 →生体適合性がよい、貧血防止
5.少ないプライミングボリューム(充填量) →血圧低下防止
6.透析膜の破損など血液漏れがない
7.洗浄、プライミングが容易
8.滅菌薬の残留がすくない
9.軽量、小型で使用後の廃棄処分が容易である。
<PVPを含む膜素材>
1.PEPA膜(ポリエステル系ポリマーアロイ)?
2.PES膜(ポリエーテルスルホン)
3.PS膜(ポリスルホン)
※疎水性が強い膜素材は、限外濾過性能が求められる透析膜としてはそのまま使用することが出来ない。
そのため親水助剤として知られるPVP(ポリビニルピロリドン)を配合させることで親水化処理を行い、透水性を高めている。
<非対称構造膜>
非対称構造膜は,膜断面にみられる孔径や支持層など物理的構造が一様でなく、膜の内面から外面の一方に緻密層、他方に多孔質層が存在する膜をいう。血液浄化器として非対称構造膜は、高い限外濾過性能を有している。
透析膜で代表的な膜
1.PAN膜
2.PS膜
3.PEPA膜
4.PES膜
5.MRC膜
<均一構造膜 >
均一構造膜は,膜全体の物理的構造が一様で,膜の内面および外面に緻密層が存在することをいう。血液浄化器として限外濾過性能は劣るが、高い溶質の透過能を有している。
透析膜で代表的な膜
1.再生セルロース
2.EVAL膜
3.PMMA膜
4.CTA膜
<ポリエーテルスルホン(PES)の特徴>
1.他のPS系膜と比較して30μmと薄膜化に成功。そのため透水性に優れる。
2.平均孔径を小さくでき、血液成分の流出を防ぎ目詰まりが起きにくい。
3.大量濾過(HDF)に向く。
<ポリエステル系ポリアーマロイ(PEPA)膜の特徴>
1.低分子物質の除去にすぐれ、エンドトキシン吸着能も有する。
2.疎水性膜なのでETを吸着にて透過を阻止しており、ETカットフィルターとしても応用されている。
<ポリアミド(PA膜)の特徴>
他の疎水性合成膜に比べ、膜への蛋白付着が軽微で膜の目詰まりが少ないことから、β2-MGの除去能が高く、膜電荷が中性に近いことからリンの透過に優れていると言われている。
<ポリスルホン(PS膜)の特徴>
1.日本国内で一番使用されているダイアライザ。
2.小分子物質からβ2-MGに至るまで比較的高い溶質透過性がある。
3.比較的構造が簡易であり、安定性、生体適合性が良いのが特徴である。また、小分子物質からβ2-MGに至るまで比較的高い溶質透過性、透水性も優れている。構造は非対象構造。
4.ハイパフォーマンス膜であり、内部濾過のため、β2-MGなどの中分子除去に優れている一方、アルブミン漏出量が多く、低栄養・高齢者の患者には不適切である。
5.親水化剤としてポリスルホンにはPVP(ポリビニルピロリドン)が含まれている。
<エチレンビニルアルコール(EVAL膜)の特徴>
1.血小板系、凝固系に対する影響がなく抗血栓性に優れている。
2.均層構造により拡散特性、分画特性に優れ、血漿分離器などにも利用される。
3.補体への影響が軽度とされている。
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<クリアランスについて(国家出題からの抜粋)>
1.血流量が多くなるほどクリアランスは増加するが比例はしない。
2.ただし溶質のクリアランスは血流量を超えない。
3.膜面積が広いほどクリアランスは増加する。
4.透析液流量の増加とともにクリアランスは増加するが、透析液流量400~500ml/min程度で尿素のクリアランスはほぼ頭打ちとなる。
5.クリアランスは基本的に時間に依存しない。
6.クリアランスとは、透析装置の溶質透過性の指標である
7.透析器のクリアランスの計算には、 血流量(限外濾過を行うときには限外濾過流量も)、透析器入口側血液溶質濃度、透析器出口側血液溶質濃度の三つの値が必要である。
8.クリアランスは血流量を越えることはない。最大で血液量であり(クリアランス100%)、通常はそれ以下。最大値は、ダイアライザを通過する間に全部除去されたときである。
9.限外濾過量を増せば、クリアランス値は増加する。その意味は、限外濾過で除去される水分とともに小分子量の物質も除去されるからである。
10.限外濾過流量の増加とともにクリアランスはほぼ直線的に上昇する。
11.透析液再循環方式では、時間と共にクリアランス値は低下する。それは、透析液中の排除物質の濃度が再循環によって上昇し、血中との濃度差が時間と共に減少するからである(現在は行われていない)。
12.クリアランスは血流量とともに増加する。それは血流量が多いほど、多量の除去目的物質をダイアライザまで運んでくるからである。
13.クリアランスは血液流量の関数であり、透析液流量の関数ではない。
14.尿素のクリアランスは血液濾過では濾過流量にほぼ等しい。濾過される水と一緒に出てしまうからである。
15.尿素クリアランスは透析液量を増すと増して行く。それは透析液中の尿素濃度がより低くなり濃度差が増えるからである。ただし透析液流量500mL/minを越えるとほぼ一定になってゆく。
<よりよいダイアライザの条件(まとめ)>
1.高効率のクリアランスおよび溶質除去性能 →透析性能の向上
2.良好な生体適合性 →マイルドな透析を実現
3.限外濾過が経時的に変化しない →透析の性能の持続
4.高い抗血栓性、少ない残血 →生体適合性がよい、貧血防止
5.少ないプライミングボリューム(充填量) →血圧低下防止
6.透析膜の破損など血液漏れがない
7.洗浄、プライミングが容易
8.滅菌薬の残留がすくない
9.軽量、小型で使用後の廃棄処分が容易である。
<PVPを含む膜素材>
1.PEPA膜(ポリエステル系ポリマーアロイ)?
2.PES膜(ポリエーテルスルホン)
3.PS膜(ポリスルホン)
※疎水性が強い膜素材は、限外濾過性能が求められる透析膜としてはそのまま使用することが出来ない。
そのため親水助剤として知られるPVP(ポリビニルピロリドン)を配合させることで親水化処理を行い、透水性を高めている。
<非対称構造膜>
非対称構造膜は,膜断面にみられる孔径や支持層など物理的構造が一様でなく、膜の内面から外面の一方に緻密層、他方に多孔質層が存在する膜をいう。血液浄化器として非対称構造膜は、高い限外濾過性能を有している。
透析膜で代表的な膜
1.PAN膜
2.PS膜
3.PEPA膜
4.PES膜
5.MRC膜
<均一構造膜 >
均一構造膜は,膜全体の物理的構造が一様で,膜の内面および外面に緻密層が存在することをいう。血液浄化器として限外濾過性能は劣るが、高い溶質の透過能を有している。
透析膜で代表的な膜
1.再生セルロース
2.EVAL膜
3.PMMA膜
4.CTA膜
<ポリエーテルスルホン(PES)の特徴>
1.他のPS系膜と比較して30μmと薄膜化に成功。そのため透水性に優れる。
2.平均孔径を小さくでき、血液成分の流出を防ぎ目詰まりが起きにくい。
3.大量濾過(HDF)に向く。
<ポリエステル系ポリアーマロイ(PEPA)膜の特徴>
1.低分子物質の除去にすぐれ、エンドトキシン吸着能も有する。
2.疎水性膜なのでETを吸着にて透過を阻止しており、ETカットフィルターとしても応用されている。
<ポリアミド(PA膜)の特徴>
他の疎水性合成膜に比べ、膜への蛋白付着が軽微で膜の目詰まりが少ないことから、β2-MGの除去能が高く、膜電荷が中性に近いことからリンの透過に優れていると言われている。
<ポリスルホン(PS膜)の特徴>
1.日本国内で一番使用されているダイアライザ。
2.小分子物質からβ2-MGに至るまで比較的高い溶質透過性がある。
3.比較的構造が簡易であり、安定性、生体適合性が良いのが特徴である。また、小分子物質からβ2-MGに至るまで比較的高い溶質透過性、透水性も優れている。構造は非対象構造。
4.ハイパフォーマンス膜であり、内部濾過のため、β2-MGなどの中分子除去に優れている一方、アルブミン漏出量が多く、低栄養・高齢者の患者には不適切である。
5.親水化剤としてポリスルホンにはPVP(ポリビニルピロリドン)が含まれている。
<エチレンビニルアルコール(EVAL膜)の特徴>
1.血小板系、凝固系に対する影響がなく抗血栓性に優れている。
2.均層構造により拡散特性、分画特性に優れ、血漿分離器などにも利用される。
3.補体への影響が軽度とされている。