昨日のニュースで、人工透析を受けている患者さんの治療中にチューブが外れ出血死したと言った報道がありました。
少し古い情報ですが、2000年における人工透析の事故は約2万件あり、その中で生命に危険が及んだ事故は実に372件あったといった内容でした。血液透析においてこれだけ医療事故が多い理由の一つとして治療の回数が多いことが上げられます。
血液透析は週に2〜3回行います。1人当たりでは年間100〜150回にもなります。
また、血液透析における医療事故の種類としては、最も多いのが、今回報道された抜針事故、そして回路離断です。
2000年における事故のうち、抜針事故の内訳をみると、動脈側抜針9.6%、静脈側抜針76.6%でした。また、抜針事故中58.5%は出血事故で、このうち36.4%は500mL以上の輸血が必要となる大出血事故です。
回路離断では、穿刺針と回路の接続部の離断が全体73.3%を占めています。そのほかには、ヘパリンラインのはずれ、穿刺したあとの穿刺針と回路の接続忘れ、圧モニタラインのはずれなどによる出血です。
2007年4月「良質な医療を提供する体制の確率を図る」ために改正医療法が施行され、医療機関に対する医療安全対策が条文化され義務化されました。
この医療法改定には医療事故報告体制の整備も盛り込まれています。
医療事故を分析するうえおいて、ハインリッヒの法則と呼ばれるものがあります。
1件の重大事故には29件の中程度の事故があり、さらに300件のヒヤリハット事例があるとされている。これがハインリッヒの法則です。
この300件のヒヤリハット事例に焦点を当て件数を減少させるため、インシデントレポートを活用して対策を立てていくことが重要になってくるといえます。
血液透析では、毎日が同じ治療の繰り返しとなり、どうしても、
「いつも大丈夫だから、今回も大丈夫」
と、言った安易な考え方をしてしまいます。
しかし、毎日同じ治療だからこそ、行わなければならない、当たり前のチェック。
今回の報道も、第3者として客観的にみると、落ち着いて分析できますが、過去の自分の透析治療における行為を振り返ると、反省すべき点が思い返されます 。
今回の報道を期に、決して他人事とは思わず、改めて自分自身の治療に対する行動を見直すキッカケになれば良いと思います。
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昨日のニュースで、人工透析を受けている患者さんの治療中にチューブが外れ出血死したと言った報道がありました。
少し古い情報ですが、2000年における人工透析の事故は約2万件あり、その中で生命に危険が及んだ事故は実に372件あったといった内容でした。血液透析においてこれだけ医療事故が多い理由の一つとして治療の回数が多いことが上げられます。
血液透析は週に2〜3回行います。1人当たりでは年間100〜150回にもなります。
また、血液透析における医療事故の種類としては、最も多いのが、今回報道された抜針事故、そして回路離断です。
2000年における事故のうち、抜針事故の内訳をみると、動脈側抜針9.6%、静脈側抜針76.6%でした。また、抜針事故中58.5%は出血事故で、このうち36.4%は500mL以上の輸血が必要となる大出血事故です。
回路離断では、穿刺針と回路の接続部の離断が全体73.3%を占めています。そのほかには、ヘパリンラインのはずれ、穿刺したあとの穿刺針と回路の接続忘れ、圧モニタラインのはずれなどによる出血です。
2007年4月「良質な医療を提供する体制の確率を図る」ために改正医療法が施行され、医療機関に対する医療安全対策が条文化され義務化されました。
この医療法改定には医療事故報告体制の整備も盛り込まれています。
医療事故を分析するうえおいて、ハインリッヒの法則と呼ばれるものがあります。
1件の重大事故には29件の中程度の事故があり、さらに300件のヒヤリハット事例があるとされている。これがハインリッヒの法則です。
この300件のヒヤリハット事例に焦点を当て件数を減少させるため、インシデントレポートを活用して対策を立てていくことが重要になってくるといえます。
血液透析では、毎日が同じ治療の繰り返しとなり、どうしても、
「いつも大丈夫だから、今回も大丈夫」
と、言った安易な考え方をしてしまいます。
しかし、毎日同じ治療だからこそ、行わなければならない、当たり前のチェック。
今回の報道も、第3者として客観的にみると、落ち着いて分析できますが、過去の自分の透析治療における行為を振り返ると、反省すべき点が思い返されます 。
今回の報道を期に、決して他人事とは思わず、改めて自分自身の治療に対する行動を見直すキッカケになれば良いと思います。